ピエール瀧になりたい

備忘録として

盗まれた自転車が戻ってきた話

一昨年の冬、自転車が盗まれた。

夕方にラボから戻って、家でちょっと準備してから夕飯の買い物に行こう、というその10数分の間鍵をかけずアパートの駐輪場に置いておいたところを盗まれたのだ。

ママチャリではあったが買ったばっかりだったのでそれなりに悲しく、また今住んでいる地域の治安の悪さを実感して嫌な気持ちになる事件だった。

一応自転車屋さんの盗難保険に入っていたので、警察の人に来てもらい盗難届けを出し、保険でかなり割り引かれた状態で新しい自転車を手に入れられたのでそれっきり忘れていた。

 

しかし3日ほど前、突然電話がかかる。

「もしもし、柏警察署ですがこちら熊谷さんのお電話でよろしかったでしょうか?」

最近警察に迷惑をかけるようなことをした覚えもないし、ここ数年はややこしい人たちとの付き合いもない。即座に自転車が見つかったことだろうと察する。話を聞くと、ごく家の近所で盗まれた自転車が見つかったらしい。

東京に住んでいた頃は、自転車で走っているだけでしょっちゅう呼び止められて登録番号を確認されたものだが、柏に移ってからそのようなことが一切ないので、盗難された自転車が見つかることはまずないだろうと思っていた。柏の外れでも、社会秩序を保とうと努力している人はいるようだ。

「一応盗難事件の証拠品という扱いになりますので、本日現場に来れない場合は柏警察署まで来ていただくことになりますがよろしいでしょうか?」

よろしいも何もそうするしかないんでしょうそうしますよ、と昔さんざん職務質問を食らった経験から来る警察への卑屈さを滲ませながら、後日取りに行く約束をする(その日は学部時代にお世話になった先輩の結婚式の二次会があり、久々に高田馬場の汚い空気を吸いに行くところであった)。

 

「車ないので取りに行くとしたら乗って帰ることになると思うんですが、自転車は使える状態でしょうか?」

「見たところ特に問題ないですよ!全然乗って帰れると思います!」

 

そんな顛末でわざわざ柏警察署まで出向き、30分以上かけて乗って帰ってきた自転車がこちら。

 

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まごうことなき粗大ゴミである。

もしも僕がピクサーアニメの監督で、自転車を擬人化した作品を作っていて、レイプされた後のママチャリを表現しなければいけないなら、この自転車は非常にいいモデルになるのではないか。

バイク風になるように、わざわざブレーキの位置を変えているあたり盗んだ犯人の人柄が透けて見えて好ましい。呼び鈴も外されてるけど、お巡りさんに問題なく乗れると言われたので、道路交通法や条例などの面でもセーフという判断でいいんですね?お巡りさん?これで注意されたらあなたの名前出しますよ?

 

とりあえず、ラボ内の移動用などに自転車欲しかったのでちょっと整備して使う(呼び鈴はつけます)。